思いでの箱 2006年(H18) 5月20日撮影
. 2018年(H30) 2月19日改訂
近鉄最古の道明寺線
JR大和路線柏原駅 (大阪府柏原市)と近鉄南大阪線道明寺駅(藤井寺市)を結びます。
JR柏原駅の片隅にあるホームに電車が入ってきました。ここで折り返しとなります。.
道明寺線は狭軌単線の2.2Kmの短い路線です。
いつの間にかワンマンに。
柏原駅を出発。
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柏原を出てまもなくすると。 軽四輪も通れない程の狭い道路にレンガ積みの橋脚に短い鉄橋がレトロな風情で架かっています。 きっと昔は荷車か農具や牛が通れさえすればよかったのでしょう。 |
ただ一つの中間駅 柏原南口駅 駅員さんが一人配置されていました。
駅を出るとすぐに大和川鉄橋に差し掛かります。
大和川と二上山 向こうは奈良県です。
釣人がいました。 この直後なんと体長60Cmの金色のコイが釣れました。
ちょっと鉄橋に取り付けてあるプレートに目を移すと
銘板にはDUDLEY ENGLAND とあり、
出身が英国であることを示しています。
DUDLEYのこと,最近の銘板の様子は最後に記述しております。
興味深かったもので下にもぐりますと、このようにあっけないほど
単純な構造で、それがまた歴史を感じさせました。
特報 2018.2.19
読めなくなっているイングランドの銘板 詳しくは、ページの最後に書いています。 |
近鉄の大路線網の中でも最古の歴史を誇っています。
もう少し詳しく言うと
そもそもこの路線は明治31年(1898)に河陽鉄道 翌年河南鉄道として柏原と古市間を
蒸気機関車を使って開業したもので、 最終的には高野鉄道(現南海)の河内長野と .
関西鉄道(現JR関西本線・大和路線)柏原を結び相互乗り入れを考えていて大阪府の
中部と南部を結ぶ構想でした。 .
道明寺線や長野線南大阪線が軌間1.067mの狭軌なのはここに遠因があります。 .
近鉄の主要路線である奈良線は大正3年、大阪線が桜井まで通じたのが昭和4年であり
それより30年以上も前にちっちゃな蒸気機関車が煙をはいて客車や貨車が往来してい
たのです。 電化されたのは大正13年でした。 .
河南鉄道と玉手山遊園地
かつて近鉄が経営していた玉手山遊園地は地元に譲渡され引き継がれていますが
もともとは河南鉄道が明治41年に開園した近畿地区最古の遊園地でした。 .
阪急の宝塚ファミリーランドが開業する以前の話で鉄道会社系の遊園地ではおそらく
日本最古ではと思われます。 双方とも時代の流れで消えました。 .
かつては小学校低学年の春秋の遠足の定番地として有名で、山の斜面にそって作ら
た、ながーいスベリ台の記憶を待っておられる人は大阪や奈良にかなりいらっしゃる
のではないでしょうか。
.
玉手山遊園地へのアプローチ 玉手橋
道明寺駅を東に向かうと大阪鉄道が昭和3年に架橋した立派なつり橋があります
往時をしのばせる華やいだ風情があって、国の有形文化財に指定されています。
大和川を越えて、軽快に下ってくる電車。
最後は石川の土手を見ながら、道明寺駅に滑り込みます。
道明寺駅で出発時間までののんびりタイム。
約20分間隔で柏原駅間を行ったり来たりします。 H22.6.6撮影
ホームの向うは近鉄南大阪線の阿部野橋行き普通電車。
最後に秋の夕暮れの道明寺線です H18.10.9 撮影
更新
読めなくなった銘板 2018年(H30)2月15日 撮影
久しぶりに英国製の銘板を見ようと鉄橋の下へ
柏原南口駅近くの堤防下です。
野鳥の糞害防止と思われるネットが張られていました。
何だかよく読めない。
ネットのせいだけでなく、その後の再塗装のために
文字の凹凸が少なくなって、はっきり読めなくなっていました。
とても残念です。
改めて以前の写真をじっくり見ましょう。
COCHRANE & Co コクレーン会社
KAYO、R? 河陽鉄道
DUDLEY ダドレー
ENGLAND イングランド
明治31年(1898)開通時の河陽の名が見えますね。
翌32年には河南鉄道に変わっていますので貴重な感じがします。
東京の京浜東北線の東十条駅の跨線橋が
このコクレーン社製の鉄橋なんです。 同じような銘板が
付いています。 明治28年(1895) 荒川橋梁として架けられ、
後年現在地に架けかえられたという有力説があります。 注1
鉄橋のプレートにあるDUDLEYについて
ダドレーは英国南部のバーミンガム近郊で産業革命の頃に発展した町で
鉱業、鉄鋼業、ガラス工業の中心地でした。 一般に蒸気機関は有名な
ジェームス・ワットの発明とされていますが、そのワット以前にニューコメン
がダドレーに鉱山の排水機用の蒸気機関1号機を設置しています。.
ワットのそれとは原理が違いニューコメン機関として知られています。 .
いずれにしてもこのプレートを眺めていると、往時の鉄橋構築の槌音が聞
こえてきそうでロマンチックな気分に浸りました。 .
注1 東十条駅の跨線橋のレポートが下記HPに発表されているほか
歴史的建造物がたくさん紹介されている菊池博和さんのページへ
リンクします。 | ![]() |
2006.5.21 制作
2010.6.6 改定
2018.2.19 鉄橋情報