思いでの箱 竜華操車場の記憶 2 昭和42年ごろ
操車場で会った機関車
当時も珍しい4桁番号の9600型 |
9642号機 |
竜華機関区所属 |
この型式は1913年(大正2年)が製造初年でこの機関車は43番目の機関車です。
昭和40年には姫路第一機関区の所属でしたが、こちらに転属してきました。 元気に
日々の作業をしていましたが43年ごろから調子が悪く休むこともたびたびありました。
読者から指摘がありました。 2015.9.15
お詫び ながらく この機関車を42番目の製造と記載してましたが
9600号が1号機なので、43号機が正しいです。
ご指摘大変ありがとうございます。謹んで訂正いたします。
下は元気な頃の姿です。
9642号機の活躍
これも大正の名機関車8620型 |
48661号機 |
竜華機関区所属 |
作業中の28653号機
昭和43年ごろになると錆付いた機関車もありました。 |
68652号機 |
竜華機関区所属 |
錆と煤 29628号機
モノクロ写真では判別できませんが、ヤード(操車場)の入替え専用の
機関車になると、このように錆色のまま薄汚れて働いているものなのです。
写真左端のビルは建築間もない頃の八尾警察署、
H25.3.5画像追加
D5228号機のことを次のNo3で特集しています。 リンクはページ最後にあります。
H25.3.5 画像追加
D52 142号機 吹田第一機関区 所属
C5779号機 奈良機関区所属
竜華機関区には数え切れないくらい訪ねましたが、C57を見たのはこの時だけでした。
急行「大和」の牽引機で、何かの不都合で湊町から来ていたのかも知れません。 .
この機関車には意外な経歴がありました。 .
◆ 大惨事 八高線高麗川列車転覆事故 をご存知でしょうか。
太平洋戦争の終戦間も無い昭和22年2月 八高線(埼玉県)高麗川駅近くの急曲急勾配で
買出し客で満載の普通列車6両編成が速度オーバーにより後部4両が脱線転覆して、5m下の
田んぼに転落しました。機関車の運転士はそれに気づかず、2両を引張ったまま駅に到着して
駅員に言われて初めて事故を知ったと言います。死者163名、負傷者249名の大惨事となり
ました。じつはその機関車がC5779号機だったのです。 注1 .
◆ 御召列車牽引の栄誉 .
そんないわくつきの機関車ですが、その後 昭和天皇が伊勢方面に来られた際に乗車された
いわゆるお召し列車の牽引機関車の補機に選ばれたり、当時の皇太子(現天皇)の成婚旅行
で奈良や伊勢に来られた際にも補機として任務を果たしました。正面のカマのフタのハンドル
にその面影が見て取れます。 補機とは後押しや機関車2両連結時の本務機以外の.機関車
のことです。 注2 .
事件のことですが、当時の運転士は弱冠23歳で経験不足だったこと、超満員でブレーキが
よく効かなかったこと、戦後の混乱期で車両、施設とも疲弊していたことなどが原因ですが
つい最近、若い運転士による大事故がありましたが、原因は別でも類似点があり、やはりこの
事故の教訓は歴史のかなたに追いやられてしまっていたと思わずにいられません。 .
注1 交通科学博物館の鉄道事故報告関連の蔵書より機関車番号を確認しました。 .
注2 ホームページ 御召列車博物館 を参照しました。 .
竜華操車場にも無煙化の波がやってきました。ディーゼル機関車の登場。
DD13型機関車 DD13 22号機 吹田第一機関区所属
城東貨物線経由で吹田から貨物列車を牽き竜華に来ていました。
次の写真と違って初期のものはヘッドライトが一つ、台車はイコライザー梁付きでした。
DD13 119号機 吹田第一機関区所属
ヘッドが二つ、台車もウイングバネ式になったほか、当初の740psが1000psと馬力アップ。
全国で見られたDD13は、既に全機廃車となり、大阪交通科学博物館で展示されています。
竜華にやってくる阪和貨物線の電気機関車
阪和貨物線は阪和線杉本町駅と竜華操車場を結ぶ貨物専用線でした。
.
昭和3年製造の国産最初の大型電気機関車 EF52型 EF52 7号機 鳳機関区所属
この7号機は現在非公開ながら神戸の川崎重工業で保管されていると言うことです。 .
同型機の1号機は「鉄道記念物」として鉄道科学博物館に展示保存されています。 .
同じく EF52 7号機
昭和6年製造のED16型電気機関車 ED16 2号機 鳳機関区所属
上記のEF52型に引き続き国産中型機関車として製造され1号機は「準鉄道記念物」として
東京の青梅鉄道公園に展示保存されています。 .
● 遅まきながら 特報 ●
2018年(平成30年) 3月 国指定の重要文化財に指定されました。
以上2つの旧型電気機関車はわが国の鉄道史上に重要な位置を占める機関車だったのですが、
私は昭和42年当時は蒸気機関車ばかりを追いかけていて、竜華に来ていても然程の興味を持ち
ませんでした。ただデッキつきの機関車はカッコいいなとは思っていましたが、まさか記念物に指定
されるとは思ってもいませんでした。 .
拡大写真です
この写真を撮った直後の1967年には 東京の立川機関区に当時残存の
18両全数が集められ、運用のあと、順次廃車され或る物は保存されたとのことです。
あいにくナンバープレートが隠れてしまっていますが、EF15 79号機と思われます。
この機関車は終戦後の昭和22年から202両製造され、旧型電機では最大両数となりました。
旧型の電気機関車に混じって新型機関車もやってきました。 ED60 5号機
竜華操車場で会った機関車 END
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