思い出の箱 2010年9月初 撮影
2011年11月5日 制作
英国鉄道の旅 T ロンドン地下鉄
鉄道ファンとしては、渡航前に事前に知識を詰め込もうとしましたが
どうしても頭に入りません。 「えぇい まずは行ってみることだ!」
帰ってから撮った写真を並べて、調べてみました。
ヒースロー空港からロンドン中心地へ向かいます。
空間の狭い車両 「 Tubeだ! イギリスだ!」
ロンドン地下鉄 愛称 チューブ
中心部まではほとんど高架を走り、意外にスピードが出て、
揺れるし音もやかましいぐらい。
地下鉄 ピカデリー線 グロースターロード駅に到着。
すでに地上はロンドンの真っ只中のはず。
駅構内はすべて真ん丸で、「 ロンドンに来た!」と実感が湧きます。
UNDERGROUND グロースターロード駅前にて
ニックネーム: the Underground もしくは the Tube です。
正式には Transport for London ロンドン交通局
駅舎の看板にはメトロポリタン鉄道と書かれています。
実はこの建物は1968年に開業しました。 なんと明治元年の事です。
世界初の地下鉄の開業が1863年 5年後に路線延伸されて開業しています。
大阪市交通局の地下鉄が大阪メトロに民営化しましたが まさしくここが語源
フランスパリの地下鉄をメトロと言ったのが語源と言う説がありますが、パリも
ロンドン地下鉄を真似たということなので、まさしくここがルーツでしょう。
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ロンドンの歓楽地 レスタースクェアー駅付近
この地域は劇場 映画館 飲食店が集まり 大阪千日前のよう。
ここにも UNDERGROUNDのマーク
第一日目の夕食 これ魚料理です。 うまい!
疲れているのか苦めのビールもほんとにうまかった。
「英国料理はまずい」 ってのは嘘かな?
観光スポット 「コベントガーデン」の近くの店にて
でもこれから10日間こんなのばかり食べ続けることになります。
そうそう ビールがいろいろあって面白い。
ロンドン地下鉄 |
ディストリクト線
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掘割の駅 サウスケンジントン駅にて |
これは車体が大きくて Tube用じゃないな。
車両メモ 形式 D78型 1980年製 7520号 630V 全長18m
D表示は District line のD
ロンドン地下鉄 エッジウェア・ロード駅 サークル線 ディストリクト線 ほか乗り入れ
この駅も掘割の駅 .
車両メモ 形式 C77型 1980年製 5710号 全長先頭 16m 中間 15m .
C表示は Circle line のC 前出 D78型の 車長の短いタイプ。
サークル線の車内風景 水曜日の午後3時ごろ 車両形式 C77
吊り輪が無く天井のバーになっています。
つづいて また掘割の駅 パディントン駅
ロンドン地下鉄 パディントン駅 サークル線 C69型電車 5551号
地下鉄といっても トンネル 青空 トンネル 青空と 次から次に出たり
入ったり。このトンネルの向うにも明かりが見えます。 .
じつは、この青天井が大事なんです。
1863年に開通し(世界最初)、1890年に電化が始まるまで30年間、
蒸気機関車が走っていたので、 煙を逃がすための空間が必要でした。
それ故、車内や駅は煤(スス)けたり、小さな火事もあり、乗客には不評
だったそうです。、とは言え都市交通を大きく支えて路線は伸延されたり
新路線も次々と開通して行きました。 .
1863年といえば坂本竜馬が脱藩して1年後、海軍操練所にいた時です。
そうだったのか!
ロンドン地下鉄はすべてTubeとばかり思っていました。
一体どうして蒸気機関車が走れるの? と思っていました。 .
疑問が氷解
開通当時、地下鉄は掘割を掘ってあとからフタをして進める つまり
<開削工法>だったのです。 そこで適当に青空を残し、 煙を逃がす
工夫がされていたんですね。 なるほど! .
土木技術が進み、また電化技術のめどがたった1890年に、ロンドン
地下鉄では初めてモグラ工法である <シールド工法> を取り入れて、
それまで出来なかった深い深度のトンネルを掘ったのが「Tube」でした。
そのときの小さいトンネルの口径が今に引き継がれています。
.
長いエスカレーター 迷路のような通路 そして階段、私はこれを事前
に知っていたら、もっと歴史を感じながら歩けたことでしょう。
サークル線など開削工法の深度の浅い路線は開通当時の駅舎が
地上にたくさん残っています。どれも100年以上前のものです。 .
気が付いていたら、もう少し雰囲気を味わえたはずでした。 .
地下鉄で使われた蒸気機関車
メトロポリタン鉄道 2B タンク機関車 注1 巻末
非常に特徴的な機構 それは一般にシリンダーで仕事をした蒸気は
煙突から煙と一緒に勢いよく吐き出されます。これは火室の煙を霧吹き器の
原理で勢いよく排出するためですが、この機関車は勢いよく出ては困るので、
蒸気はサイドの水タンクに誘導され冷すようになっています。 .
運転でも駅で充分ボイラー圧を上げ、トンネル内は石炭をくべないよう頑張っ
たということです。 .
参考 開通年と工法と列車
1863年 |
メトロポリタン線 |
開削 |
SL 地下鉄=メトロの語源 |
1863年 |
ハマースミス&シティー線 |
開削 |
SL |
1868年 |
ディストリクト線 |
開削 |
SL |
1869年 |
イーストロンドン線 注2 |
開削 |
SL 現在 他社 オーバーグラウンド線 |
1884年 |
サークル線 |
開削 |
SL |
1890年 |
ノーザン線 |
シールド |
電気機関車 |
1898年 |
ウォータールー&シティー線 |
シールド |
電気機関車 電車 |
1900年 |
セントラル線 |
シールド |
電気機関車 電車 |
1906年 |
ピカデリー線 |
シールド |
電車 |
1906年 |
ベーカールー線 |
シールド |
電車 |
1968年 |
ヴィクトリア線 |
シールド |
電車 |
1979年 |
ジュビリー線 |
シールド |
電車 |
注2 |
ロンドン地下鉄が開通する20年前(1843年) に完成した世界初のシールド工法に
よるテムズ川河底トンネルは、当初 馬車や人に供用されていました。
イーストロンドン線はロンドン南北を結ぶ路線として、このトンネルを譲り受けて開業
しました。 「チューブ」が小口径なのは、土木技術が発達してなったからという説は
この一件からやや説得力が無く、むしろ建設費用を節約するためだとする説もあって
こちらが正しいような気がします。
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0番ゲージの鉄道模型の線路のよう。 パディントン駅
珍しい4線軌道、直流630V 外側が給電 中央が帰電用レールです。
かつては各線それぞれ個別の会社だったため、 給電レールが中央だった路線
もあったとか。 合併と相互乗り入れするうちに現在のように統一されました。.
車両メモ 形式 C69型 1969年製 5598号 全長 先頭16m 中間15m
C69型とC77型は 製造年違いでほぼ同型で共通運用です。
ピカデリィー線の小型車両はヒースロー空港から乗ったのがただ一度だけ
だったので全体像を見たのは車窓からだけになってしまった。 .
1973年頃製造なので 形式1973型 です
釣り掛け式台車
このページTOPの写真のキャプションに「ゆれるし 結構やかましい」と記述して
います。 このHPを作成中に分かりました。 じつは台車が「釣掛け式」なんです。
日本では鉄道ファンの中にこれを探して乗りに行くほどで、ある意味では貴重な古い
仕組みの台車です。 昔の電車がグヮーンと鳴って走りました。 それです。
これも行く前に分かっていたら、もっと乗り心地を味わったのに残念でした。
1863年当時のロンドンの人口は166万人で馬車の交通渋滞がひどく
都市交通がマヒしていました。 もっとも日本の江戸も100万都市でしたけど。
なるほど話
サークル線は昔は環状運転でしたが、現在はエッジウェアーロード駅起点の
「のノ字」運転です。 これはダイヤが乱れた時に従前より早期復旧が可能だと
してサークル線をハマースミスまで設定したそうです。 .
サークル線はクルクル回るので外側の車輪が減りやすい。 フムフム。
その対策としてタワーヒルからハマースミス&シティー線のホワイトチャペル
まで回送し、ハマースミス駅までの運用に付くと前後入替えることができま
す。 いわゆる三角線になっている訳で、これを計画的にやっているそうな。
参考 車両の大きさ比較
.. |
ロンドン 地下鉄 |
大阪地下鉄 |
.
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1973型 小型車
ピカデリー線 |
大型車 C69 C77
サークル線他 |
大型車 D78
ディストリクト線他 |
御堂筋線
21型 |
全長 |
17.5 m |
16.0 m |
18.37 m |
18.9 m |
全高 |
2.88 m |
3.69 m |
3.62 m |
3.75 m |
車体高 |
2.14 m |
2.53 m |
2.51 m |
* |
巾 |
2.63 m |
2.92 m |
2.85 m |
2.89 m |
床下高 |
0.73 m |
1.16 m |
1.11 m |
* |
注目したいのは 小型車の床下が 73cmで普通の車両より約40cm低い点
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大型車 D78 小型車 1973型を
上の数値から作図しました。
(車輪の径はイメ−ジです) |
ディストリクト線 サウスケンジントン・スローンスクエア 間
地下鉄ピカデリー駅の入り口
ピカデリー広場の名物 「エロスの像」近くに集まる人々。 午後10:30
現地で買ったレールファン雑誌 <railways> の表紙です。 .
2010年9月号
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新型車両 S型がメトロポリタン線で
営業開始!!
本文を読んで見ると、サークル線や
ハマースミス&シティー線などで使用中
の古い車両 つまりC型車両はこのS型
に入替計画が進んでいるとのことです。
この本は2010年なので、それから計画は
進捗しているものと思います。 .
各種鉄道ファン向け雑誌は
駅売店でたくさん置いていました。
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注 1
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SL写真 運転台キャビン(小屋)のある物と無いものを
掲載しています。 ロンドン交通博物館の公式HPでも両機種
が活躍していたことを記述しています。 .
なお 画像資料は 下記より転載しました。 . |
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「世界鉄道百科図鑑」 2007年8月 悠書館 発行 .
ディヴィット・ロス 編 小池滋・和久田康雄 訳 |
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END |
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「思い出の箱」からコメント
ロンドン地下鉄のレポートは、訪問したときの印象と帰国後にウィキペディア
をはじめ 書物やNET上から集めた情報を元に作成しています。 。
総じて当ページからはロンドン地下鉄がやや古臭い鉄道の様な印象を伝えている
気がいたします。 短時間の旅程で最新車両と設備を見過し、あるいは遭遇しなか
ったこと。 英語が理解できない等により最新情報をお伝えしていないからかと思い
ます。 また不正確な記述があればご指摘ください。 。
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2011.11.4 制作
2011.11.11 改訂