思い出の箱                         2010年9月3日 撮影
                                        2017年10月16日 改訂版
英国  保存鉄道を訪ねて @
ノース ヨークシャー ムーアズ鉄道 
NORTH YORKSHIRE MOORS RAILWAY
映画「ハリーポッター」 ホグワーツ特急のロケ地



ヒースの花で薄紫色に染まるムーアを行く列車はNYMRの見どころ。

ムーア (Moor)はイギリス各地に点在する広大な荒涼たる荒野です。

※ ヒース(Heath) イギリスではヘザー(Heather)と呼ばれています。
荒れ地に咲く花で、小さな花ですがとてもしっかりした堅い軸を持ち
少々の風では吹き飛ばされません。

NYMR はロコモーション号やロケット号のスティーブンソンの手により
1836年開業した古い歴史を持つ鉄道が前身で、1965年廃止の後
1973年に復活した保存鉄道です。                  
 . 


イングランド北東部  国立鉄道博物館のあるヨークの北東約50km
ピカリング から グロスモントまでの28kmを 約1時間で結びます。



 鉄道でNYMRにアクセスできますが、路線バスが意外に便利。  
ヨーク(York) から1時間30分ほどで着くことが出来ます。     .




二階建てバスで農村地帯から,素敵なマルトンの市街(Malton)を通過。  
時計台は現在2時05分、 あと30分ほどでピカリングに到着予定です。




始発駅  ピカリング駅 左端に機関車の煙と湯気が見えます。
        Pickering

1日乗車券  14ポンド  (¥2,100円)
  2018年2月21日 1ポンド 約150円

訪問時2010年当時は£136円 \1900円でした 


 グロスモントの先の北海に面する港町ウィットビー
までノーザン鉄道の本線経由の乗車券も発売され、
直行のSL列車も運行されています。         .

 パンフでもウィットビーまでをNYMR線としています。




駅では たった今 到着した列車から離されたSLが移動中。




63395号機  1918年製 (大正8年)
スティーブンソン式弁装置で先輪なしの4動輪が珍しいです。




賑う、ピカリング駅 この時は青天井の駅も今では立派な屋根が復活しています。
(イギリス発のYouTubeで閲覧しました。)







私たちと同じ列車に乗る兄妹


 思わず私は映画「ハリーポッター」に
出てくるハリーと同級生で秀才の女の子
ハーマイオニーを思い出しました。   .


 と言うのも、この沿線にはこの映画の
ロケ地に選ばれたゴースランド駅がある
からでした。              .





「なんか残念」 機関車は逆行なんだ。 「いいか」 帰りに乗れるんだし。


 乗務員は3人
  一人はなんと女性でした。


  
カメラを向けると飛びっきり
    の笑顔が返ってきました





 
マウスを写真の上に
おいてください。
   .






この鉄製の跨線橋を見るだけでも感動的。




 終点グロスモントに向けて出発! 所要時間 片道約1時間。

日本で聞き覚えの「BO-ッ」でなく、甲高い単音の「POーッー」。
排気音はとても勢い良く、かつ軽快にシュッ、シュッ、シュッと出ます。





車庫の脇を走ります。 面白い車両があちこちに




すれ違っただけで高貴な気配のする木造客車。




雰囲気のある信号場。 今、受け取ったタブレットを持つ係員さん。


乗車した列車の内部をご覧ください

 こちらは標準的な客車 コンパートメント客車

コンパートメント客車には 「この車両は○○の××氏がこの鉄道のために購入いただいた。」
と書かれた金属プレートが貼ってあります。意訳して寄贈によるものと解釈しました。 



客車が揺れて少しピンボケです。


このように保存鉄道はトラスト運動というボランティアによって支えられています。




三つ目の駅 LEVISHHAM駅 (レヴィシャム) で対向列車とすれ違います。

45428号機は形式5MT 通称を「ブラックファイブ」と呼び、名声ある形式だそうです。


1937年製  (昭和12年)




レビシャム駅には保存車両を宿泊できるキャンピングコーチとして留置しています。








童話の舞台みたいな、レビシャム駅を見送ります。


ここからは国立公園のムーアの真っ只中を進んでゆきます。











車窓の近くまでヒースが咲いています。




歯切れのいいリズミカルな排気音が良く聞こえてきます。

映画 「ハリーポッター」では、この地点を
走る列車がヘリコプターからのシーンで登場します。





これでも以前はもっとヒースが咲いていたとか。

地球温暖化のせいで、シダ類がおおいに繁茂して来たそうです。



ムーアの谷が途切れたら、まもなく人家が現れました。
風景にとてもよく馴染み、とっさにカメラを向けました。
赤い車がいい添景になりました。




GOATHLAND(ゴースランド)駅到着。



92214号機 形式クラス9F  動輪が5軸の重量貨物機 英国最後の設計 1959年製





映画「ハリーポッター」 魔法学校の入学式に行く時、
降りたホグズミート駅のシーンはこの駅で撮影されました。





映画のおかげで一躍有名な駅となり観光客もいっぱいです。




振り返るとこんな景色。鉄道模型のレイアウトみたい。

機関車と信号所でタブレットの交換が写っています。












次の駅、終点グロスモント駅に出発




GROSMONT駅 (グロスモント)に到着




音楽隊がいて何やら華やいだ雰囲気のグロスモント駅




イギリスでは大きな駅には大きな時計、小さな駅にもそれなりの大きな時計。
   そして町の通りにも時計があって、それぞれ存在感があり素敵です。




こんな踏み切り始めて見ました。 列車が来たら駅員さんが開閉します。




こんな機関車もウロウロしています。 1960年製 貨物用機関車 D5061号機
古い鉄道雑誌で見るとロンドン発の旅客列車も牽いていたようです。




「なんだ ガッカリ」 帰りはSLが正位で付くと思っていたら、
このDL(ディーゼル機関車)が牽引なんですって。

D7628号機   1965年製





出発してすぐに機関区の脇を走ります。
機関車は53809号機  1937年製  車軸は2+4



なにか重量感のある機関車が見えました。 とても気になりました。
いずれは復活させるそうですが、この時は雨ざらし状態



最近のYouTube動画で  2020年3月10日 発見
なんとこの機関車が見事に復活してました。

 動画をどうぞ 初めに出ます
機関車番号  2253
NYMR ONE GOOD TURN MOVIE
   

復活は最近だと思います。 2017年には出てこなかったので。
でかい赤錆びた機関車が。 U.S.A の文字があるのでアメリカからなのだろうか。
形もアメリカンスタイルのようだし? 日本のD52型のような威圧感がありました。
 

NETでこの機関車を調べました。 ( 2010年記 )

1943年製  USATC (アメリカ陸軍輸送部隊)所属のアメリカ製機関車です。

有名なノルマンディー大作戦と関連がありました

第二次世界大戦中 ナチスドイツのフランス占領に対する連合国の侵攻作戦(Dデイ)に
対応すべくイギリスに多数配備され、その他ヨーロッパ アフリカ ロシア 中国他にも配備
された機関車です。戦後もし日本が標準軌ならば日本にも配備されたかも知れません。
2006年版の書物では静態保存すべく整備中とありますが、まだ手付かず状態でした。
 United States Army Transportation Corps  









来る時ににお世話になった機関車がこにいました。 
 ご苦労様でした。





さっき通ったレヴィシャム駅で対向列車を見送ります。


気付かれたでしょうか。  このページ全体を見ても黒い煙
写っていません。上の写真でも写っているのは湯気だけですし、

蒸気機関車の煙の色と匂いのレポート

ノースヨークシャームーアズ鉄道でも もう一つのキースリーワースバレー鉄道
でもそうだったのですが、機関車の煙の匂いが、ほとんどしません。      .
 私は日本の汽車の匂いは嫌と言うほど嗅いできましたので、それがよく分ります。

確かめた訳ではありませんが、おそらく英国の石炭が高品質なためか、あるいは
成分がちょっと違うのではないかとおもいます。   私のこのHPでの写真でも
坂を上っている時、 つまり力行中でも薄い色の煙しか写っていません。 そして
パラパラ降ってくる燃えかすや灰などもありませんでした。              .
日本の場合だと力行中は黒煙がもうもうと吹き出し窓を閉めないと煤だらけです。

きっと英国では 産業革命を支えた石炭は昔から豊富にあり、現在も良質炭が
安価で気軽に手に入るのだと思います。                        .






出発地 ピカリングに戻ってきました。少し影が長くなり時計は5時50分
英国は緯度が高く、8時ごろまで太陽が照っています。

Steam Gara  
NYMRでは「春のSL祭典」 「秋のSL祭典」 などで所有の機関車や
客車、貨車だけでなく、全国から保存車両が集結します。 その他年間
何回かのイベントがあって人々は思い思いの扮装をしたりして、とても楽
しくオールドな列車の走りを楽しみます。
      
※ (Gala = 祭り)

このようなGaraはいくつもの保存鉄道でも催されています。

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ノース ヨークシャー ムーアズ鉄道    END


「思い出の箱」ではイギリスの旅を、 こちらでも掲載しています。
小説「嵐が丘」の舞台、保存鉄道 キースリー&ワースバレー鉄道
スコットランドの名物鉄橋 フォース鉄道橋とテイ鉄橋
ナショナルレール東海岸線など 英国鉄道の旅
英国の人気ナンバーワン観光路線 セトル・カーライル鉄道
「思い出の箱」 目次へ

NYMRのホームページを紹介します。
楽しい動画もあります。



参考資料
英国保存鉄道  笹田昌宏 
JTBパブリッシング   2006年刊行

NYMRのホームページ 他 
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2010.9.21  制作
2011.4.17  改訂
2012.12.14  改訂
2017.10.16   一部加筆
2020.3.10   GARAリンク